「おさがしの本は」を読みました

「おさがしの本は」 門井慶喜/著
光文社 2009年7月 978-4-334-92668-7 を遅ればせながら読みました。

 門井氏の作品を読むのは初めてでしたが、ミステリーにジャンル分けされている作家の方のようで、肌に合わなきゃ途中でやめてもいいや位の気持ちで読みだしたら、最後まで一気に読んでしまいました。結局文学のジャンルの得手不得手の問題というよりも、「図書館」がネタかどうかが私の価値判断なのだろうか?

 現在彼の他の作品も続々と手元に集まってきていますが、基本的なスタイルとしては300ページ位のボリュームの中に4〜5の短編小説で、同じ登場人物が出てくるというコンセプトの作品ばかりでした。

 門井氏の「図書館観」は、バブル前の図書館だな〜というのが最初の印象。主人公の図書館員和久山もキャラ的にイマイチ魅力は感じられず「キャラ読み」はできませんでした。

 なのになぜ読破できたかというと、10数年働きながら、知らない事が複数出て来たことが大きいです。小説は作り話なわけですから、ウソを書いて構わないわけですが、和久山や仲間が調べたこと、言っている事は事実なのか思わず書架に調べに行ってしまいました。レファレンスってどんなことやるの?という図書館に来たばかりの職員の気楽なテキストとしても使えるかな?とか著者はこの作品書くのに調査したんだろうなとか、どこの図書館で調べたんだろうか? こんな質問きたらヤダな?と思いながら読みました。

 細かく書くとネタばれになるので書きませんが、「図書館滅ぶべし」「ハヤカワの本」「最後の仕事」は面白かったです。10月は「カドイ マンスリー」になるかも・・・