中島作品紹介9−3

今回は「生きていてもいいですか」のクライマックスの2曲「エレーン」「異国」。これまでのアルバムでもそうだけれど、彼女の作品はラストの1、2曲目に重要な曲を配置することが多い。「エレーン」とは外国女性の名前。後に初の短編小説集「女歌」で明らかにされたが、同じマンションに住むコールガールで殺害された。それを受けて曲にしたという。アルバムタイトルは、この曲のラスト「エレーン生きていてもいいですかと誰も問いたい/エレーンその答を誰もが知っているから 誰も問えない」という重たい歌詞に由来。
ラストの「異国」も「百年してもあたしは死ねない/あたしを埋める場所などないから/百億粒の灰になってもあたし/帰り支度をしつづける」という壮絶な言葉が並ぶ。この世にふるさとと呼べる場所がないという漂流感が悲しい。ここ数年高齢者の孤独死が問題になっているけど30年近く前にそれに匹敵するほどの孤独をテーマにしていたのでは。
皆さんをさんざん脅かせましたが、この2曲が聴けるか否かで、初期のみゆきさんの作品が攻略できるかの「踏絵」的な2曲と言えるでしょう。しかし「エレーン」がカラオケに入っているのはどうかと思うんです。1人、部屋で聴きたい曲だし。