中島作品紹介12−4

今回は「寒水魚」B面3曲目の「時刻表」。「傾斜」同様中島みゆきに深くはまるきっかけになった曲。特に2番の歌詞が秀逸です。「満員電車で汗をかいて肩をぶつけてるサラリーマン/ため息をつくならほかでついてくれ/君の落としたため息なのか僕がついたため息だったか/誰も電車の中わからなくなるから/ほんの短い停電のように淋しさが伝染する」という都会の情景を歌い、次にマスコミ、大衆社会のあり方を鋭くつく部分に入ります。「誰が悪いのかを言いあててどうすればいいかを書きたてて/評論家やカウンセラーは米を買う/迷える子羊は彼らほど賢い者はいないと思う/あとをついていてさえ行けばなんとかなると思う/見えることとそれができることは別物だよと米を買う」という歌詞。評論家やカウンセラーのことはわかったけれど中島みゆきさんの言うことは信じていいのか少し疑問には思ったけど、その箇所を歌うみゆきさんの声が「騙される」側の人のような不安げな声で歌うのでそこはスルーして聴いていました。最後の地方出身者の視点に立った歌詞に癒されます。「ホームにて」「杏村から」に共通するノスタルジーの世界。それも中島作品の魅力の1つです。