中島作品紹介14−3

まずは「ひとり」。アルバムバージョンは、間延びしていて、シングルの優雅さが損なわれているように思われます。タイトルどおり失恋歌ですが、重苦しさは感じられません。「時計の針なら戻る 枯れた花でさえも/季節が巡れば戻る」の歌詞には「時代」からの輪廻という伝統が息づいた作品。間奏のキーボードは良いです。
次曲「生まれた時から」は中島作品屈指のドランカーソング。演歌に酒は付き物ですが、中島みゆきの作品も酒の出現率は高いんじゃないでしょうか?出会ってから素面でいるのを見たことがないという飲んべえを好きになってしまった女性。そうした恋心に気付かない仲間から昔の彼の事を聞かされる彼女。今の酔ってばっかりいる姿は前カノと別れた時と変わっていなくて、まだ傷を負っているというもの。さらに本気の人の前では素面だったという事実。「ずっと飲んでいたと思える男性」と「好かれたことがない女性」の両方に掛かった「生まれた時から」という言葉が意味深。男性コーラスも効果的。「はじめまして」からコーラスが効果的に使われるようになっていくんですよね。ご乱心時代の作品は杉本和世さんのコーラスにハマっていたんです。