中島作品紹介14−5

前回飛ばした「シニカル・ムーン」からです。「寒水魚」の中の「砂の船」的な位置づけの曲。地味だからこそラストのクライマックスを引き立てる役割。「月並みな愛は古すぎる 突然な愛は気障すぎる」「好きだと言えば不安になる 言われていなきゃ不安になる」など名句満載の曲。自分がもし作者ならばA面4曲目「生まれた時から」と順序入れ替えると思います。
ラスト2曲は、怪しげな効果音とカウントダウンで連続しています。「僕たちの将来」は、ファミレスで食事するカップルの風景と最も遠い処にあると思われる戦争を題材にした作品。「僕たちの将来は良くなってゆくだろうか」と語尾が下がりながらのカウントダウンにはゾクゾクとさせられる。この曲のあと数年で冷戦が終わるとは思いませんでした。
ラストの「はじめまして」は疾走感が心地よい。「シカタナイ×2 そんなことばを/覚えるために 生まれて来たの」など心に残る歌詞も好きです。しかし曲の終わらせ方が・・・終わらせたふりをして、心臓音で1コーラス分再スタートというのは、蛇足です。「シーサイド・コーポラス」の「こんなもんで、どぉーかな」に匹敵するダメっぷり。料理は良かったのにデザートでこけたという感じ。